外壁の改修
実際に断熱を施す改修を行うとした場合、
外断熱、内断熱、断熱材にもグラスウール、ウレタンフォーム、セルロースファイバーなど種類は色々あり、これらの中からその家に適したものを選択していくことは案外難しいものです。
今回のような改修の場合は、「現状の建物と暮らし」を考慮して選択することが重要です。
建物の現状を考えると、今後さらに進むと思われるタイル張りの既存外壁の老朽化を防ぎながら建物の保温(保冷)性能を向上させることができること。
外からの工事なので、室内で生活をしながらの施工が可能であることともに、近隣への配慮として、大きな音があまり出ないこと、といったことから、外側から断熱材を貼って左官塗りで新しい外壁を作るという湿式外断熱工法を選択しました。
また、暮らしとの関連としては、既存の暖冷房システムであるピーエスの放射暖冷房との相性が重要なポイントになりました。
コンクリート躯体の外側から断熱をすることで、コンクリートの壁が放射冷暖房からのあたたかさ、涼しさを貯めこんだりゆるやかに放出したりして、放射暖冷房と協働して室内気候を作り出す役割を担うことできるようになるのです。
さらに言えば、本プロジェクトで大切にしている「熱環境がよくなるだけでなく、見た目も美しく、五感で感動できる建物を目指す」ために、既存のタイル張りの外観のイメージが変えられるという点も大きなポイントです。
デザイン監修を担当したのるすくの北田氏、プロジェクトリーダーであるお施主さんを中心に模型やサンプルを使いながら色や改修範囲の検討をしながらデザインを進めました。
断熱改修だけでなく、庇関係の補修、給排気のフード取り換え、鉄部の塗装など今後年と少しでも長く美しく使い続けるために必要なことにも、施工を担当した工藤工務店とともに、現場を丹念に確認しながら工事をしています。まさに、多様な専門家が協働して進めるプロジェクトとなりました。