川崎市のエコスクール化された学校で、学校の先生方を対象とした電灯照明の使い方を考えるワークショツプ型研修会の企画・実施を担当しました。
学校の設計では、窓からの光がなくても基準照度を満たすように電灯照明の配置と数が設計されています。
また、通常学校では、授業中はとにかく電灯照明をすべて点灯することが慣例になっていますが、窓からの自然光も大事な照明の一部と考えれば、電灯照明の使い方も変わってくるはずです。
必要と快適のバランスが取れた光環境を実現するというのがポイントです。
今回は、そのようなことを先生方と共有し、そんな運用が実現するための方法を考えていくことが重要だと気付いた教育委員会の施設課の方々と、以前から川崎市の学校施設の整備について調査をしている佐藤エネルギーリサーチ(株)さんとの協働として実施しました。
2~3人に1台づつの照度計を用意し、電灯照明が点灯していない校舎の中を、照度を測りながら調査しました。
学校の基準照度として、教室内は300lxが最低限確保すべき照度。推奨は500lx以上、廊下や階段は50~100lxが基準となっています。
その基準とされている数字と体感、自然光による照度、校内の使い方を合わせて考えることで、自然の光を活かす電灯照明の使い方を見つけることが目的です。
ただ単に歩いて調べるのではなく、
窓側から廊下に向かって照度の分布を調べました。
また、南側と北側教室の比較、電灯照明ONとOFFの差など、いくつかの調査内容を決めて、ワークシートを用いて記録もできるようにしました。
最後にこの学校に施されている建物の工夫や庇の効果などを説明し、「光環境は自分たちで調整できる」こと、そしてそれを子どもたちと一緒に楽しんでできることだということを伝えさせていただきました。
先生方のまとめからは、
「明るい世界に慣れすぎれいたかもしれない。」
「窓側は電灯照明をつけなくても明るい」
「太陽の光は明るい、使える」
「掃除の時間や廊下は電灯照明を少し消灯しても大丈夫そう」
といったような、必要と快適のバランスを考えて使い方を発見してくださった様子が見て取れました。
太陽の明るさは時々刻々変化します。活動によって必要な明るさも異なります。
一様にルール化すればいいのではなく、使う人がその都度考えて、光環境を調整することが一番重要なことで、それは実は楽しいことでもあります。
そんなエッセンスを少しは伝えられたのではないかと思っています。
次年度も複数の学校で引き続き実践をしたと思っています。
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