暖かい空気は上昇するので、室内で暖められた暖かい空気の出口を建物の一番高いところに、外の新鮮な空気の取り入れ口を一番地面に近いところに、、。室内の一番高いところと低いところ、距離が離れているところに窓を設けることで、広い範囲の空気を確実に入れ替えることができます。
間取りや構造を考えながら、夏の室内空気の流れをデザインする窓の配置をご提案しました。
ちょっとした仕掛けとしては、高い場所の窓が付いている壁や屋根を黒色にして、断熱材も少し薄くしました。高い場所の空気の温度を高くして、勢いよく下方の空気をひっぱろうというもくろみです。
建物の計画時に、間取り、構造、光環境、熱環境をいっしょに考えることで現れるデザインがあります。
「武石町の家」の光・熱環境について、基本計画時に協力させていただきました。
階段室でもある吹き抜けが海風や陸風、昼光利用を活かす装置となることで、室内に心地よい自然の光や風が取り込まれるようにすることが目標とのこと、吹き抜けがあることでどのような光や熱環境を得られるのか、その可能性を整理するお手伝いをさせていただきました。
竣工後の見学会にお邪魔したのですが、光と風に対する目標とする機能を満たしつつ、さらにひと工夫、ふた工夫を加え、自然を感じるとても心地よさそうな住まいになっていました。
吹き抜けがあることで、直射光の不快さを避けつつ、光による時間や季節の移り変わりを楽しむことができる、昼光利用の秀作です。